超長期国債の金利が上昇で誰も買ってくれない!

時事

 超長期国債といわれている20年債、30年債、40年債の金利がますます上昇しております。このことにより、多くの超長期国債を保有している金融機関などの機関投資家たちが売りを行っており、買い手がつかないことが問題となっています。

国債の金利の仕組み

国債には、金利が上がると国債の価格が下がるという性質があります。

国債の満期時に支払われる額面価格と、額面価格に対して毎年固定で支払われる利息(クーポン)と、国債の購入価格である国債価格があります。

まず国債の利回りの求め方は、[クーポン+(額面価格-国債価格)/償還までの年数]/国債価格

で求められます。

具体例として

満期=10年

額面価格=100円

国債価格=95円

クーポンレート=1%

とします。

毎年支払われるクーポンは、額面価格×クーポンレートより100円×0.01で1円となる。

したがって利回りは

[1+(100-95)/10]/95となり

1.58%になります。

超長期国債の金利が上昇する理由

 アメリカのトランプ大統領の関税措置の影響と、日本で行われる参議院選挙で、多くの政党が減税や給付を訴えており、それによって財政拡大の懸念が高まったことが原因とされています。

日本銀行が買い取れない

 日銀は政府から直接国債を買い取ることが出来ないため、金融機関等が国債を購入しそれを日銀が買い取ります。

債務残高の国際比較(対GDP比)

 令和5年時点で、日本の政府債務はGDP比で240%を超えており、これは主要国の中でも突出した水準です。

 参考までに、コロナ禍で大量に国債を発行したアメリカは約119%中国は約82%イギリスは100.4%であり、日本の対GDPにおける国債の比率は非常に高くなっています

日本の資産

 日本が令和6年度末に保有している海外への資産負債、そしてそれらを差し引いた純資産の金額は、以下のとおりです。

対外資産残高:1,659兆221億円

対外負債残高:1,125兆9,721億円

対外純資産残高:533兆500億円

 日本の対外純資産は世界でもトップクラスで、最近まで1位でしたがドイツに抜かれてしましました。

日本銀行の仕組み

 現在、日本銀行は国債の半分以上を保有しています。

 日銀が国債の利子を受け取ったとしても、その収益は経費を除いた上で「日銀納付金」として国庫に納付される仕組みとなっており、政府全体として見れば利払いの実質的な負担は限定的です。

 また、多くの国債は過去に低金利で発行されているため、固定された利率も比較的低く、現時点では利払い費の急増にはつながっていません。

 ただし、今後市場金利が上昇すれば、新規発行分の国債にかかる利払い負担が徐々に増える可能性もあるため、中長期的に市場の動向を見ていく必要があります。

まとめ

 日本は負債だけでなく資産もあるため、今すぐに財政が悪化するとは言えないが、長期金利が上昇することで経済に悪影響を与えることは間違いありません。

特に長期金利は住宅ローンの金利と連動しているため、長期金利が上昇すれば住宅購入者には大きな負担になってしまします。

これから、高齢化によって更なる社会保障費の増大が避けられないですが、国債の発行残高には限界があるので、財政の無駄をなくす改革を行う必要があります。

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