為替や株式などの金融分野について、多くの人は「なんとなく知っている」程度で、きちんと理解しているとは言えないのではないでしょうか。というのも、学校の授業ではこうしたお金の知識を学ぶ機会がほとんどなく、実生活の中で自然と身につけるのも難しいからです。
最近になって「NISA」などの制度が話題になり、投資への関心が高まっていますが、それまでは「投資は怖いもの」「お金持ちがやるもの」といったイメージを持っていた人も多いはずです。
そこでこの記事では、そうした不安を解消するために、金融や経済の基本的な知識について、わかりやすく解説していきます。
経済の基礎知識
GDP(国内総生産):一定期間内に国内の経済活動によって生み出された財やサービスの付加価値の合計
経済活動では、生産→分配(所得)→支出という流れになります。そこで、生産=分配=支出が成り立ち、これを三面等価の原則と言います。
したがってGDPは生産、分配、支出のどこで見ても同じ値になります。
マネーストック:国(政府)や金融機関を除いた「一般法人・個人・地方公共団体」などが保有している通貨の総量
マネタリーベース:日本銀行が直接供給するお金のことで、「市中に出回っている現金(紙幣・硬貨)」と「民間金融機関が日本銀行に預けている当座預金(準備預金)」の合計
景気は、不景気→景気の拡大→好景気→景気の下降→不景気というサイクルを繰り返しています。
インフレ:物価が上昇し、お金の価値が下がっている状態
例:昔100円だったコーラが200円になった場合、現在の100円にはコーラ半分の価値しかない
デフレ:物価が上昇し、お金の価値が上がっている状態
例:昔100円だったコーラが50円になった場合、現在の100円にはコーラ2個分のの価値がある
金利:無担保コールレートに適用される政策金利(短期金利)と、新規に発行された10年債の金利(長期金利)の2種類がある
無担保コールレート:銀行同士が「担保なし」で、短期間(主に翌日)お金を貸し借りするときの金利のことです。
為替:お金を外国のお金に交換すること
例:日本円をドルに換える
基軸通貨:基軸通貨とは、世界中で広く使われている、国際的なお金の基準となる通貨のことです。
現在の基軸通貨は、アメリカのドル(米ドル)で、貿易や投資などで世界中の国が使っています。
円高ドル安:基軸通貨であるドルに対して円の価値が高い状態。
例:今は1ドル=100円だとします。
でも将来、1ドル=50円になったとしたら、同じ1ドルを買うのに必要な円が半分(50円)で済むようになります。
これはつまり、円の価値が上がっている(=円高)ということです。
以前よりも少ない円で、同じドルが買えるようになっているからです。
円安ドル高:基軸通貨であるドルに対して円の価値が低い状態
例:今は1ドル=100円だとします。
でも将来、1ドル=200円になったとしたら、同じ1ドルを手に入れるのに2倍の円(200円)が必要になります。つまり、円の価値が下がっている(=円安)ということです。
以前よりもたくさんの円を払わないと、同じドルが買えなくなっているからです。
※円高も円安もドルに対しての相対評価なので、円高ドル高や円安ドル安ということにはなりません
景気、物価、金利の関係
景気がいいと金利は上がり、景気が悪いと金利は下がる。
🔍 なぜそうなるの?
景気が良いとき:
- 企業の利益が増えて、みんなお金を借りて投資したがる
- 需要が高まりすぎて物価(インフレ)が上がる心配がある
- そこで、中央銀行(日銀など)は金利を上げてお金が借りにくくなるようにし、景気を冷ます
景気が悪いとき:
- デフレによって消費も投資も落ち込む
- 中央銀行は金利を下げてお金を借りやすくして、経済を元気にしようとする
為替と金利の関係
円高になると輸入品の価格が安くなる(物価が下がる)ので、金利は下がります。
円安になると輸入品の価格が高くなる(物価が上がる)ので、金利が上がります。
内外金利差と為替の関係
金利が高い国の通貨は強くなる(買われやすい)
金利が低い国の通貨は弱くなる(売られやすい)
🔍 どうして?
たとえば日本とアメリカを比べてみましょう。
アメリカの金利が高い場合:
- 投資家は「金利が高い=利息が多くもらえる」ドルで預金や運用をしたほうがいい
- つまり「円を売ってドルを買う」動きが強くなる
- 結果:円安・ドル高になる
逆に、日本の金利が高くなると:
- 「ドルを売って円を買う」動きが増える
- 結果:円高・ドル安になる
景気と株価
景気が良くなると、企業の売り上げや利益が伸びるため株価が上がる
景気が悪くなると、企業の業績が悪くなるので株価が下がる