日本は財政破綻しない?それでも国債を発行し続けるとヤバイ理由【高校生向けに解説】

政治経済

はじめに:国の借金ってなに?

ニュースやネットで「日本は借金が多い」「国債がヤバイ」なんて言葉を聞いたことはありませんか?


でも、「国の借金って何?」「ギリシャみたいに財政破綻しないなら問題ないんじゃないの?」と疑問に思う高校生も多いはず。

この記事では、「日本が財政破綻しない理由」と「それでも国債を出し続けるとヤバイ本当の理由」を、分かりやすく解説します。

国債とは?簡単に言うと「国の借金」

まず「国債(こくさい)」とは、政府が「お金を貸してください」とお願いして発行する借用書のこと。
たとえば、日本政府が国民や銀行からお金を借りて、将来に利息をつけて返す仕組みです。

現在、日本の国の借金は1,300兆円以上あります。

ギリシャは破綻したけど、日本はしない。その理由とは?

よく「ギリシャは国の借金で破綻したけど、日本は大丈夫なの?」と話題になります。

✅ 日本が財政破綻しない主な理由

 1. 自国通貨を発行できる(=円を刷れる)

ギリシャが財政破綻した大きな原因のひとつは、自分の国のお金(通貨)を発行できなかったことです。


ギリシャは「ユーロ」というEUの共通通貨を使っていたため、政府が勝手にお金を増やす(お金を刷る)ことができませんでした。

その結果、「借金を返すお金がないのに、どうしようもない!」という状態に陥りました。

一方、日本は円という自国通貨を持っているので、どうしても国債の返済に困ったときは、日本銀行(日銀)が円を発行して対応することが可能です。

もちろん、やりすぎるとインフレ(物価上昇)などの問題が起きますが、最悪の事態を回避する「最後の手段」があるというのは大きな違いです。


2. 国債の9割以上が国内で消化されている

ギリシャの国債は、多くを外国の投資家や銀行が買っていました。


そのため、「信用できない」と思われるとすぐに売られ、国債の金利(借金の利息)が急上昇して、返せなくなるという悪循環に陥りました。

一方、日本の国債は9割以上が国内(日本人)で買われているのが特徴です。

買っているのは:

  • 銀行
  • 保険会社
  • 年金機構
  • そして日本銀行(=中央銀行)

つまり、「借金の相手が自国民(自分たち)」なので、外国から急に「返せ!」と言われてパニックになるような事態が起きにくいのです。


3. 豊富な対外純資産と外貨準備がある

日本は世界トップクラスの対外純資産国です。
これは、「海外に持っている資産」−「海外からの負債」のことで、日本は30年以上連続で世界1位を維持しています。

財務省によると2024年では、対外純資産(土地や建物などの有形資産も含む)はドイツに続き2位でり、533兆500億円でした。

また、日本は外貨準備(ドルなど外国のお金の備え)も世界上位です。

日本は2024年時点で中国に続き世界第2位となっており、1兆2,918億ドルとなっています。


これにより、万が一外国からの信用が一時的に落ちたとしても、外貨で支払ったり、為替介入をしたりする力があります

特に急激に円安になったとしても外貨準備を使って為替介入をすることが可能です。

つまり、

  • 日本は**「外に対してお金を貸している国」**であり、
  • 外貨(特にドル)もたくさん持っている

このような財政の「体力」があるため、外国に頼らずとも国の安定を保ちやすいのです。

つまり、日本は「財政破綻=借金返せずにデフォルト(債務不履行)」にはなりにくい構造になっています。

比較項目ギリシャ日本
通貨発行自分でできない(ユーロ)自分でできる(円)
国債の保有者外国人が多い国内(日本人や日銀)が多い
財政赤字のごまかしあったない(比較的透明)

じゃあ、国債を出し続けても大丈夫?――実は“じわじわヤバイ”

たしかに、今すぐ破綻するわけではありません。でも、国債を出し続けると、次のような“じわじわヤバイ”影響が出てきます。

1. 将来の世代(今の高校生たち)がツケを払う

国債は「未来の税金で返す」ことが前提。
つまり、今の若い世代やその子どもたちが、増税や社会保障カットでそのツケを払うことになります。

例:消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ など


2. 金利が上がるとヤバイ

日本の国債は低金利だから保てているけど、もし将来金利が上がると、国の利息の支払いが急増します。

去年までは、10年国債の金利1%に届かないぐらいで推移していましたが、実際2025年は金利が上昇しており5月時点で1.4%になっています。

その結果、

  • 教育・福祉・防災などに使えるお金が減る
  • 国の信用が落ちる
    などの問題が起こります。

3. 日銀によるお金の「刷りすぎ」でインフレのリスク

日銀が国債を買う=実質的にお金を刷っている状態。


これが続くと、「円」の信用が下がるリスクがあります。

もし円の信用が落ちると…

  • 円安が進み、物価が上がる(輸入品が高くなる)
  • 給料が増えないのに物だけ高くなる(悪いインフレ)

これが実生活に大きな影響を与えるのです。


まとめ:今すぐ破綻はしないけど、油断は禁物!

  • 日本はギリシャのような財政破綻はしにくい構造を持っている。
  • でも、国債を出し続けることで、将来世代への負担や経済の不安定化という問題がじわじわ迫ってくる
  • 高校生のみなさんも、「今の日本の経済がどう将来に影響するか」を考えることが大切です。

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