最近、テレビやインターネットで「投資をしましょう」とよく言われるようになりました。
高校や大学でも、お金について学ぶ授業が増えています。特に「若いうちから投資をしたほうがいい」「投資をすればお金がふえる」と言う人がたくさんいます。
でも、本当にそうでしょうか?
たしかに、投資でお金がふえることはあります。
しかし、お金がない人にとっては、投資があまり意味のないものになることもあります。
この記事では、なぜお金がない人にとって投資が意味がないのか、やさしい言葉で説明していきます。
1. 投資には「元手(もとで)」が必要
まず、投資をするには、ある程度のお金が必要です。このお金のことを「元手(もとで)」といいます。
たとえば、100万円を投資すれば、1年で5%ふえたとすると5万円の利益になります。
しかし、1万円しか投資できなかったら、同じ5%でも500円しかふえません。
500円では、生活は変わりません。
ジュースを買ったら終わりです。
このように、元手が少ないと、どれだけ投資がうまくいっても、ふえる金額も少ないのです。
2. お金がないと、生活が苦しくなるリスクが高い
投資にはリスクがあります。
つまり、お金が減ることもあるということです。株が下がったり、会社が倒産したり、外国のお金の価値が変わったりして、投資したお金が半分以下になることもあります。
もしお金に余裕があれば、「まあ、またがんばろう」と思えるかもしれません。
でも、もともとお金が少ない人にとっては、大きな痛手(いたで)です。生活費が足りなくなったり、家賃が払えなくなったり、借金をすることになるかもしれません。
生活が安定していないときに投資をするのは、とても危険なことです。
3. 投資信託で長期間つみたてることの大切さ
最近、「つみたてNISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ)」など、長い時間をかけてお金をふやす投資が人気になっています。
その中でも、「投資信託(とうししんたく)」を使って、毎月コツコツとお金をつみたてる方法が注目されています。
今回は、なぜ投資信託で長期間つみたてることがよいのか、簡単な言葉で説明します。
投資信託ってなに?
投資信託は、たくさんの人から集めたお金を、プロが株や債券(さいけん)などに投資して、利益をねらうしくみです。
ひとりひとりが自分で株を買わなくても、投資のプロが運用(うんよう)してくれます。
つみたてとは?
「つみたて」とは、毎月すこしずつお金を入れていくことです。
たとえば、月に1,000円や1万円など、決まった金額を毎月投資信託に入れていきます。
いっぺんに大きなお金を出す必要がないので、学生や若い社会人にも人気があります。
長期間つみたてると、なにがいいの?
1. 少しのリスクで投資できる
投資にはリスクがあります。
すぐに大きなお金を入れると、タイミングが悪いと損をすることがあります。でも、長い時間をかけてつみたてると、「価格が高いときも、安いときも」買うので、平均して安定した投資ができます。
これを「ドル・コスト平均法」といいます。
2. お金がふえるチャンスが高くなる
投資信託の価値(かち)は毎日変わります。でも、長い目で見ると、世界の経済は少しずつ成長しています。
つまり、投資信託の値段も、10年、20年とたてば、上がっていくことが多いのです。
長くつみたてることで、お金がふえるチャンスも大きくなります。
3. 習慣(しゅうかん)になる
毎月つみたてを続けると、「お金をためる習慣」ができます。
コンビニでのちょっとした買い物をがまんして、つみたてに回すと、将来大きなちがいになります。
たとえば、月1万円を20年間つみたてて、年5%でふえた場合、約410万円になります。※これはあくまで一つの例です。
お金がないと感じる人は、まず投資よりも「貯金」が大切です。
貯金とは、お金をためることです。急な病気やけが、仕事がなくなるなど、予想できないことが起きたときに、貯金があると安心できます。
たとえば、急に3万円が必要になったとき、貯金があればすぐに対応できます。
でも、投資にお金を回していたら、お金を引き出すときに損をすることもあります。
タイミングが悪ければ、投資した金額よりも少なくなってしまうこともあるのです。
4. 投資は「余ったお金」でやるもの
投資をしてもよいのは、生活に必要なお金をのこしたうえで、「使わなくても困らないお金」があるときです。
そのようなお金を「余剰資金(よじょうしきん)」といいます。投資はこの余剰資金で行うのが基本です。
たとえば、毎月の生活費が15万円で、20万円の収入があるとします。
残りの5万円を全部使ってしまう人は、投資をするべきではありません。
まずはその5万円の中から少しずつ貯金をして、将来に備えることが大切です。
投資はその次の段階です。
5. 投資でお金持ちになれる人は一部だけ
SNSなどでは「投資で月100万円もうかりました!」という話がたくさんあります。
しかし、これは特別な例です。そういう人たちは、もともとお金があったり、投資の知識がとても深かったり、運がよかったりします。
実際には、投資をしてもなかなかお金がふえない人のほうが多いのです。
しかも、失敗してお金を減らす人もたくさんいます。
だから、「みんな投資で成功している」と思いこまないようにしましょう。
6. 自分への投資のほうが効果的
お金がない人にとって、一番意味のある「投資」は、自分自身への投資です。
たとえば、本を読んで勉強すること、資格を取ること、スキルを身につけることです。
これらは、すぐにお金になるわけではありませんが、長い目で見れば、収入をふやすチャンスにつながります。
収入がふえれば、貯金ができるようになり、やがては投資に回せるお金も出てきます。
自分を成長させることこそ、もっとも確実で安全な「投資」といえるでしょう。
まとめ
お金がない人にとって、投資はまだ早いことが多いです。
元手が少なければ利益も少ないし、失敗したときのダメージが大きいからです。
まずは貯金をして、生活を安定させることが大切です。
そして、時間やお金を使って自分のスキルや知識を高めることが、もっとも意味のある投資になります。
投資をはじめるのは、生活に余裕ができてからでも、ぜんぜん遅くありません。
大切なのは、自分のペースで、しっかり準備をしてから投資にのぞむことです。